2019年6月23日日曜日

狩猟デビュー?( ゚Д゚)

     信じれば成る

 去る6月の17日、何と狩猟デビュー?してしまいました!勿論まだ免許は取れてりませんのであくまで雰囲気を味わっただけですが・・・(笑)


 僕は昨年度より猟師を目指して活動を始めましたが、このブログを書いている現在ではまだ狩猟免許は合格しておりません。が!信じて行動していると目標は達成できていくようです。

 僕は兵庫県内のお肉屋さんに勤めています。働いている会社の社長が、お風呂が非常に好きで、良く近所の温泉に行っています。その温泉で、地元の猟友会の事務局長を務めていらっしゃる方と偶然友達になっていました(!)しかもその方は、社長の奥さんの高校の先輩だそうで、すぐに意気投合した模様。

 僕が会社の新しい取り組みとして狩猟を行いたいと言った当初は、あまり乗り気ではなかったと思うのですが、ここにきて少しずつですが乗り気になっていた時に、この巡り合わせ。何か事がトントン拍子に進んでいくので、僕の方がついていくのに精いっぱいな感じです。

 この地元猟友会の方が、今度イノシシが捕れたら、持っていきますと仰っていたと社長から聞いてはいたのですが・・・


 17日の月曜日、いつものように仕事をこなしていると社長が興奮気味に、「ちょっと時間あるか?」と聞いてきました。どうしたんですかと尋ねると、「前お風呂で仲良くなったHさんが、罠にかかったイノシシがおるから見に来るか?って聞いてきてるけど、どうする?」と。


 行きます!!!!ビシィィ(`・ω・´)ゞ


 ええ、それはもう即答でした。

 一人じゃなくて、二人で来て欲しいというHさんのご希望があったので、もう一人連れていく事になりました。時間は午前10時ごろ。集合場所はHさんのご自宅との事で、社長に案内してもらい向かう事に。車で3分ほどのところにあるご自宅で、事務局長を務めていらっしゃるHさんと初対面。




Hさん 「おおー。君が狩猟を行いたいって言ってる子かー」

M     「初めまして!これから宜しくお願い致します!!」




 社長が、僕が行おうとしている事は話してくれていたので、非常にスムーズ。折角だから体験してほしいというHさんの計らいで、一緒に連れて行って頂ける事になりました。
ここで社長は退散。僕の勤めているお肉屋さんの社長は生き物が大好きで、本当に大好きで今からとどめを刺すという場面に立ち会う事は辛かったようです。

 Hさんの自宅からこれまた車で3分のところに移動。農道を少し走り、山の麓に着くとここから山に登るとの事。傾斜50度はあるかという急な斜面をスイスイ登っていくHさん、御年70歳!!39歳の中年メタボリックはたかだか数分の坂道に息も絶え絶え、もはやこちらのとどめが刺されてしまいそうです('Д')
 

Hさん 「おいおい。そんな調子じゃ猟師にはなれんぞ?w」

M     「ハアハアはいハアハアちょっとハアハア痩せないとハアハア駄目ハアハアですよねハアハア

Hさん 「そうやな、その体では山は無理やぞWタバコも吸うとるんやったらやめなあかん。山に入るんやったらな。」

M     「ハアハアはいアハアハアハアハアハアハ


 十数年甘やかしてきたわがままワガママボディが重くのしかかってきます。時間にして数分、罠の位置に着きました。


 
Hさん 「着いたぞ。ほれ、あそこや。」

M     「ハアハアえっ?ハアハアどこですか?ハアハア

Hさん 「あの木のふもとや。よう見てみ。おるやろ。」

M     「(・・?(・・?・・・!いた!」









 僕は最初なかなかわからなかったのですが、やっと判明。写真ではしっかりと見分けがつきますが、これは発見後に更に寄って撮った写真。野生動物の擬態能力はすさまじいものがあります。イノシシの形状は勿論知っていましたし、何度も見てきました。しかし実際の猟場で見ると、なんと見分けのつきにくい事か。自然に完全に溶け込んでいました。これではそう簡単に見つける事は出来ません。ましてや罠にかかり、身動きの取れない状態で アソコ! と指定されて瞬時には解らなかった訳でありますから、これは心してかからねば、とてもじゃありませんが捕れそうにもないと思いました。

 山の斜面の木の麓にくくり罠が仕掛けてありましたが、なんという確率。広大な山の中の面積に対して、写真のイノシシ、しかもウリボウの左後ろ足の面積はまさに干し草の中から針を探すような至難の業。Hさんの熟練の技術が垣間見えます。なんでもけもの道を毎日見回り、次の行動を読み畑や田んぼに降りてくるルートを考えているそうです。どこで寝ている、どこでエサをとるなどはある程度把握しているそうで、けもの道もこの山の中ならほぼ把握しているそうです。



Hさん 「さあ、いつまでもこのままではかわいそうや。とどめ刺さなあかん。」



 麓について山の斜面を上がって行くときに、体にたすき掛けしていた銃を取り出しました。狩猟期以外で罠にかかっている獲物のとどめを刺す場合、地元自治体の許可が必ず必要になるそうです。

 年季の入った銃の包みから銃を取り出したHさん。出てきたのは水平2連銃でした。槍も持っておられましたが、一息にとどめを刺してあげないとウリボウやし可愛そうやな、と仰いながら猟友会の安全ベストのポケットから装弾を取り出すHさん。装弾は散弾銃ですが1発もののスラッグ弾と呼ばれるものでした。


Hさん 「ええか?よう見とき。」

M     「はい。(;゚д゚)ゴクリ…」



 最後の抵抗か、罠から必死で逃げようとするウリボウ。少しの間(ほんの数秒ですが)狙いをつけた後、山の中に轟音が響き渡ります。





 ドーン!


 先ほどまで必死に動いていたウリボウ。一つの命が奪われた瞬間です。キーンとなり続ける鼓膜。

 すぐにHさんが動き出します。



Hさん 「狙った場所はこの耳の後ろや。まだ微かにうごいとるやろ。このあいだに心臓刺して血抜きするんや。せやなけんかったら肉があかんくなる。」



 慣れた手つきで腰のナイフシースから、これまた年季の入っていそうなナイフを取り出すと、心臓を一突き。流れ出す血。あたりに独特の匂いが立ち込めます。



 予期せぬことから狩猟体験をした私。猟師を目指していた僕はこう思いました。

 これは非常に大きな責任のある事と。そしてそれに向き合い続けて行かなければいけないと。人間の都合で生き物の命を奪う訳です。今日の体験は本当に貴重な体験となりました。

 こののち、会社にイノシシを持ち帰り、屠畜しました。僕は仕留めた獲物を必ず有効活用するために、牛や豚の屠畜を屠場で何度も見学し、練習してきましたのでこの屠畜は問題なく行う事が出来るのですが、ここは折角なのでHさんにご指導を兼ねてお手本を見せていただく事に。ある程度説明を受けて、皮を少し剥いだところで選手交代。

 皮をはいでいる時にまだ温かい肉と、命を失ってはいますが目がずっと僕のことを見ているようで、先ほどまで生きていたんだな、という実感を感じながら肉の一片たりとも絶対に無駄にはしないと誓いました。因みに野生鳥獣を精肉にして販売する場合は、特別な許認可と施設が必要になります。僕達はしばらくはお惣菜としてしか販売できませんが、この特別な許認可と施設もゆくゆくは作っていきたいと考えています。


                                                                     ↑これが記念すべき1頭目!!


 このブログを書いている今日、記念すべき一頭目のイノシシは僕が自ら捌く事にしました。枝肉重量8kg。カタ肉とモモ肉はミンチにするために捌き、ロース・バラは分割せずに骨付きのまま明日のお昼ご飯に。肩ロース肉は試作品として焼豚風に加工してみます。ロース・バラは骨付きのままなので正確な産肉量はわかりませんが、おおよそ60%ぐらいの感じです。牛肉75%、豚肉70%は僕達が扱う平均的な歩留ですが、この60%という数値は
  1. ウリボウであるためにまだ筋肉が発達しておらず、肉の量が少ない
  2. 罠にかかっていた左側が痛んでいる箇所が多く、精肉とならない
  3. 牛肉・豚肉は品種改良の結果、産肉量が多いため、野生のイノシシは千差万別
  4. 1週間枝肉で熟成させておいたために水分が蒸発し、重量が減っているため
 以上の理由によるものと考えています。因みに1週間熟成した根拠は死後硬直のとれる時間を考慮したためです。死後硬直は動物の筋肉で必ず起こる現象ですが、豚肉の場合は1週間が目安。遺伝子的にほぼ同類のイノシシもそれを目安にしたところであります。普段捌いている肉とあまりに勝手が違うために、枝肉から大分割し捌き終えるまでに30分もかかりました。僕達が主に扱う豚肉の1頭当たりの重量は80~70kgありますから、約十分の一、この豚肉を丁寧に捌くと半分で30分弱かかりますから、今回の作業効率は約1/5といった感じになりました。

 筋肉は飼育期間が長くなるほど固くなる傾向があります。鶏肉のヒネ鶏が固いのはこれによる一因があります(妊娠にともなうホルモンの影響などもあります)。今回のウリボウはメスで生後5か月程度と推察されます。非常にお肉が柔らかかったです。生体重は目視では20kgと推察しましたが、枝肉重量から考えると15kgほどだったかもしれません。


 ミンチにしたお肉はコロッケに加工してみようと考えています。骨付き肉のリポートはまた次回以降にさせて頂こうと思っています。


 
 自分の決めた目標に向かい、信じて行動していると、ひょんなことから実現してしまった回のお話しでした。



 
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